
第27回電撃大賞
:最終候補作品
ひょんなことから歴史の歯車が少しだけズレた世界。欧州列強に帝国主義が蔓延する19世紀末。かつてない繁栄を遂げた大英帝国の裏には、密かに暗躍する武器商人たちの姿があった。
カネトリは武器商業組合、〈銃後のお茶会(フロック・ティーパーティー)〉に所属する武器商人。数々の戦場を渡り歩いてきた敏腕ながら、彼にはとある弱点がある。
カネトリは真正の「ファーリー・ジェントルマン(ケモナー)」だったのだ……。
ある日、出会ってしまった二人と一羽。運命はまるで「解析機関」の歯車のように、やがて一行を巨大な陰謀に巻き混んでいく。
作:上地王植琉
バーナード・ショー、ギブスン&スターリング……その他、敬愛する作家たちに捧げる。
それと、歴史ファンで文学ファンでスチーム・パンクファンでミリオタでケモナーなあなたにも贈る。歴史改変パスティーシュケモノSF小説!
目次:
Episode of UNDERSHAFT
Part.Ⅰ
ケモノと武器商人
-My “Furry” Lady-
武器商人カネトリとその相棒・白カラスのクローは、ロンドンに帰る最中に〈黒犬〉と呼ばれる半獣人の少女と出会う。ひょんなことから少女の面倒を見ることになったが、アイルランドの独立のために暗躍するIRBの陰謀に巻き込まれることになる。
Part.Ⅱ
ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ディキシーランド
-Gone with the “Gunpowder”-
アメリカでは第二次南北戦争が勃発。大英帝国の参戦が危ぶまれる中、二人と一羽はシデナムの水晶宮でのデートの際に、幼馴染のバーバラ・アンダーシャフトにばったりと出くわす。
マキシム邸で催される夜会に呼ばれるが、そこでバーバラの父にして、カネトリの師匠であるアンドリュー・アンダーシャフトに再会。南部連合国の「レット・バトラー商会」へのお使いを頼まれることになるが……?
-The Tale of the “Undersea Warship”-
ラブレス博士の秘密兵器〈スカーレット砲〉の試射が行われた同時刻、英領シンガポールにて武器商人ロキア・アレキサンダー・グラバーが上陸。大日本帝国の外交官を名乗るバンカラ男、太田豊太郎とすっかり打ち解けることになる。
酒を飲んで蒸気船〈ノルマントン号〉に帰ってきた夜、豊太郎は二十余年前に自ら体験したという奇妙な冒険談を語り出すが……?